■太 極
太極とは、混沌とした状態から一点が生まれた状態を指します。「六十四卦生成圖」を観て頂くと解るように、太極(点)から陰陽が分かれ出るのです。
また、太極とは、「中心」と言う意味があります。また、「物々に太極在り」と言う言葉があるように、全ての物に太極があります。
つまり太極には「点」という意味と「始まり」という意味があるのです。

太極自体に方位は無い。


この、太極自体に方位が無いと言う概念を少し説明いたします。方位と言うのは、ある位置から、もうひとつを見た時に出てくる概念で、例えば北海道が北と言う概念は、北海道より、南に自分が居る時の状態を指す訳です。北海道より北に居た場合は、北海道は北に在るのでは無く、南にあるのです。当たり前の概念ですが、非常に大切な概念です。

風水において、物を量る時、上記の概念がとても大切になってきます。風水上では、太極とは羅盤を置く場所=何かを量る場所となります。それは、天池(羅盤の磁石)の置く場所が太極となります。
それは、何を量るかによって太極の場所が違ってきますし、どのような法をもって量るかによっても太極の場所は違ってきます。下記に太極の例を示しますので良く覚えてください。

水法を看る時の家の座山を量る場合=玄関の枠の延長上線をもって量りますので、玄関の枠の延長上が太極となります。
八宅法をもって家の座山を量るときは玄関そのものを太極として座山を量ります。
これは、飛星や玄空大卦、妙派、天機派、などの風水を看る法によっても変わってきます。

これを混同すると正確な座山や方位を量ることが出来なくなります。

また、家の中心から、八方位を分ける時は、家の中心が太極となります。しかし、家の中心と言っても、法によって異なりますので、その法は、どこをもって中心(太極)とするかが解らなければ、いくら正確に量ったとしても、結果は正確に出てこないのは当然の事です。

ここの、太極論では、
何を観るかによって太極が違ってくる
自分の居る場所によって廻りの方位(量る対象物の方位)が違ってくる
と言う事を、しっかり憶えておきましょう。


■二 氣 五 行

二氣五行に入る前に、陰陽を少し説明したいと思います。
太極圖(六十四卦生成圖)に書きましたように、太極から、陰陽が生まれ四象が生まれ八卦が生ずるわけですが、これも、圖説に現せば、太極から陰陽が完全に分かれている様に書きます。

しかし、実際は、「陰」と「陽」が別々にある訳ではなく、太極の中に、すでに陰陽が含まれており、地球(宇宙と言っても良い)生成のときに、澄んだ氣は、天になり、重い氣は地を造った。と言う考えがあります。この考えは、現代の宇宙生成論にも合致している所です。

朱子語類に「清剛なものが、天となり、重濁なものが地となる」とありますがまさに、陰陽が分かれて、天地を造ったと言っているのです。しかし、天にも陰が含まれ、地にも陽が含まれおります。
陰も極まれば陽となり、陽も極まれば陰となるのは、陰の中には、すでに陽が含まれており、陽の中にはすでに陰が含まれているから、陰から陽に、また陽から陰に転ずるのです。
この陰陽の事を「一気」と言います。この理論が「一気陰陽論」なのです。

では、「二氣」とは、どうゆう意味なのかと言いますと、上記で書いた「陰陽」を指します。

序説で、二氣が陰陽を指すという事は、ご理解頂けたと思いますので、「二氣五行論」に入りたいと思います。

二氣とは、陰陽の事と言うことはすでに書きました。

五行とは「木」・「火」・「土」・「金」・「水」の事です。

序説で一気陰陽論を書いたのは、天地が創造される前、陰陽の含んだ一気があって、その運動によって、天地が造られたと考えるからです。しかし、一気陰陽論には清濁の性質は説明されていますが、それは、天地のみの創造であって、他の物質の生成過程については、説かれておりません。そこで、先天八卦圖にあるように五行の考えが加えられて、生成論が完成するのです。

一気陰陽 = 太極  → 二氣 = 陰陽 + 五行 = 物事の生成と破壊が繰り返される

「およそ、天地が物を生じる場合、まず軽清なものができて、それから重濁なものに及ぶ。天は水を生じ、地は火を生ずる。水火の二つは五行のうちで最も軽清であり、金木は水火より重く、土は金木より重い」(朱子語類より)

と、あるように、五行の気の発生順位は水→火→木→金→土と発生したと考えます。
つまり、一気陰陽の運動によって軽清な物は天となり、重濁な物が地となったわけですが、その過程で、五行が加わり、全ての物が形成されたと言う考え方が「二氣五行論」なのです。

ですから、一気には陰陽が含まれ、陰陽には五行が含まれていると言えるのです。

五行の発生順位は水→火→木→金→土と発生した訳ですが、五行は循環いたしますので、循環過程は木→火→土→金→水となります。
そして、
陰陽は氣であり、五行は質である。

氣は、物を造る材料という事は、すでに「理氣論」で説明いたしました。氣は物を造る材料で、五行は物の性質を決めるものだということです。